「特別区設置協定書について承認を求める件」の見解

(平成27年2月定例府議会 〈討論抜粋〉)

今議会に提案された「特別区設置協定書」は、昨年9月議会に出されたものと骨格部分は何も変わっていません。私たちは、
毎年約4,000億円あると知事が主張していた再編効果は、毎年1億円にすぎないこと。
特別区は、平成29年の発足から5年間収支不足となり、その累計は858億円、一部事業が民営化されない場合は1,071億円の赤字となること。
特別区は中核市並の権限を持たず、その自主性と財源保障が不確実であること。
「都区協議会」については、意思決定の仕組み、紛争処理の方法等が不明確で、将来のトラブルが懸念されること。
予算規模6,000億円を超える大規模な一部事務組合を設立することで、府・一部事務組合・特別区の三層構造を作り出し、区民の声が直接届かない仕組みとなること。
などを指摘してまいりました。

こうしたことから、二重行政の解消、中核市並の権限、毎年4,000億円の効果という目的が全く達成されないことを協定書は示しています。
さらに、大阪市を廃止し、特別区を設置することで、法人格を超えて13,000人を超える大規模な職員の異動が必要となり、人事上の問題が発生する可能性があるほか、特に特別区に設置されることで、大幅な職員増が求められる児童相談所における専門職の配置をはじめ、職種毎で生じる職員の過不足への対応など、現時点では全く明らかではありません。特別区の設置日を決めた法定協議会において議論が尽くされていないことは明白であり、住民サービスが間断なく安定して提供できる体制になるのか、極めて疑問であることが明らかになりました。

以上のとおり、この協定書は、極めてずさんなものであり、この協定書をもとにした「都構想」には断固反対であると申し上げます。
しかしながら、知事は現在、自身の政治目的のために対立の姿勢を強め、府政は混乱し、府民のために本来為すべき仕事にも負の影響が出ています。わが会派は、このような不毛の対立を収束させるため、住民投票で決着をつけることを決断し、議案としての協定書を承認するものです。